弾を避けるだけのゲーム「HITLESS」のSteamページを公開しました — ストアとビルドで受けた2回の差し戻しと、その直し方
2026年8月28日、「HITLESS」というPCゲームのSteamストアページを「近日登場」として公開しました。攻撃ボタンがなく、できるのは避けることだけ。15秒生き延びれば次のステージへ進み、ステージに終わりはありません。発売は2026年9月23日を予定しています。ここに至るまでにSteamの審査を2回落ちました。1回目はストアページで、カプセル画像に宣伝文句を入れていたこと。2回目はゲームビルドで、コントローラー対応を申告しながらポーズメニューをパッドで操作できなかったことです。どちらも「ストアに書いたことと、実際のビルドの中身が一致していない」という同じ原則に触れていました。この記事では、作ったものの中身と、2回の差し戻しの指摘・原因・直し方を記録として残します。

公開したもの — 攻撃ボタンのない弾幕回避ゲーム「HITLESS」
HITLESS(ヒットレス)は、撃つ手段も、弾を消す手段も、身代わりになるアイテムも持たないアクションゲームです。プレイヤーにできるのは移動と低速移動だけで、ゲーム内の行動は「避ける」ことに限定されています。対応OSはWindows 10/11の64bit、シングルプレイ専用で、オンラインに繋がらなくても遊べます。開発・販売はYOHAKU GAMES、Steamでの配信です。
1ステージのクリア条件は15秒間の生存です。それだけを満たすと自動で次のステージへ進み、ステージ数に上限はありません。進むほど弾は速く、密に、複雑になります。当たり判定は自機の見た目より小さい中心判定で、グラフィックが重なっていても芯が抜けていれば当たりません。被弾すると残機が1つ減り、残機0で被弾するとゲームオーバーです。
スコアは到達ステージ数という一つの数字だけで、同じステージ数なら最終ステージでの生存秒数で順位が決まります。グレイズ(弾のすぐ脇をかすめること)や撃破数がスコアに加算されることはありません。
リーダーボードは全部で7本あります。スコア用が2本で、総合と、ステージ1から始める「最初から」部門です。こちらは四半期ごとにシーズンが切り替わり、歴代ボードは常設です。残りの5本は統計ランキングで、連続ログイン日数・累計プレイ時間・累計起動時間・累計クリアステージ数・累計グレイズです。つまりグレイズはスコアには入りませんが、専用のランキングでは競争の対象になります。
収録数は、獲得できる称号が42種、弾幕のギミックが20種です。ギミックは直線弾・狙い弾・全方位リング・渦巻き弾・予告線付きレーザー・走査レーザー・格子レーザー・反射弾・収束弾・体当たり編隊などで、ステージ15以降は複数が同時に出題されます。一度でも遭遇したギミックは、ギャラリー画面で被弾しない状態のまま好きなだけ観察・練習できます。Steam実績10種とSteamクラウドによるセーブ同期にも対応しています。
表示言語は日本語と英語です。簡体字中国語と繁体字中国語も実装を終えていて、発売までにビルドへ反映する予定です。BGMは全曲オリジナルで、自分で作曲しました。
なぜ攻撃手段を無くしたのか
弾幕シューティングで一番おもしろい瞬間は、撃ち返しているときではなく、抜けられないと思った隙間を抜けたときだと考えています。ところが多くのシューティングでは、その瞬間は攻撃・パワーアップ・ボム・スコア倍率といった要素と同時に進行していて、体験としては混ざっています。攻撃を持たせないという設計は、その混ざりものを全部外して、抜けた瞬間だけを残すための引き算です。
グレイズをスコアに入れなかったのも同じ理由です。弾のすぐ脇をかすめると小さな粒と高い音が返ってきますが、到達ステージの順位はそれで1つも上がりません。増えるのは称号の条件と、累計グレイズという別のリーダーボードのほうです。競う場所自体は用意してあり、本編のスコアからだけ切り離しました。それでも低速移動で弾のほうへ踏み込んでしまうなら、それはスコアのためではなく、すれすれを通ること自体が目的になっているということです。逆に、遠くで安全に避けているかぎり画面は静かなままで、粒も音も返ってきません。安全な場所には手応えがない、という状態を意図して作っています。
見た目も同じ方針で削っています。盤面は白と黒だけ、自機は青い三角形ひとつです。ステージが切り替わるたびに盤面の白と黒が反転し、その反転そのものがクリアの合図になります。効果を伝えるためだけの装飾は置いていません。
審査1回目 — ストアページ。カプセル画像に宣伝文句を入れていました
ストアページを審査に出したのは8月12日でした。8月18日に返ってきた結果は不合格で、指摘は画像についてでした。要点は「カプセル画像に余分なテキストが含まれている。説明文・宣伝文句・URL・QRコードなどを入れないでほしい。Steamのカプセルに載せてよいのは、ゲームのアートワーク、ゲーム名、そして公式サブタイトルだけである」というものです。対象はHeader Capsule、Main Capsule、Vertical Capsuleの3枚でした。
原因は、その3枚に「SURVIVE 15 SECONDS. FOREVER.」という一文を入れていたことです。規約が認めているのは「ゲームのアートワーク」「ゲーム名」「公式サブタイトル」の3つだけで、私はこの一文を公式サブタイトルのつもりで置いていました。しかし規約でいう公式サブタイトルとは、ストア上のゲーム名そのものの一部を指します。本作の名前は「HITLESS」だけなので、この一文は宣伝文句(marketing copy)に分類されます。
落ちたのがちょうどその一文を描いている3枚だけだった、というのが分かりやすい結果でした。検索結果に出る小型カプセルと、Steamライブラリ用の画像2枚には最初からこの一文を入れていません。ライブラリ用のアセットは規約が「アートワークとロゴのみ」とさらに厳しいと理解していたためで、結果としてそちらは無傷でした。逆に言えば、ストアカプセルなら公式サブタイトルを載せてよい、という私の理解のほうが間違っていたわけです。
直し方は単純で、画像生成スクリプトの該当3枚をサブタイトルなしで描く経路に切り替えるだけでした。この経路は小型カプセルとライブラリ用で既に使っていて、審査を通っている実績があります。差し替え後のヘッダーカプセルは、既に承認されているライブラリヘッダーとバイト単位で同一の画像になりました。8月22日に再提出し、8月27日に承認されています。
アップロード時にもうひとつ気づいたことがあります。Steamworksの画像アップロード画面では、カプセルごとに「判読可能なロゴが画像の3分の1以上を占めることを確認した」「ゲームロゴ以外の余分なテキストが含まれていないことを確認した」という2つの宣誓チェックが表示されます。つまり今回の指摘は、アップロードの時点で開発者自身に確認させている項目でした。チェックを機械的に付けていると見落とす種類のものです。
審査2回目 — ゲームビルド。コントローラー対応が申告どおりではありませんでした
ストアページの承認と同じ週、8月28日にビルドの審査結果が届きました。こちらも不合格で、必須の指摘が2件ありました。
1件目は、シングルプレイヤーにもマルチプレイヤーにも分類されていない、というものです。ストアページの「対応している機能」にあるプレイヤー区分を、どちらも選んでいませんでした。この欄は必須マーク付きですが、空のままでも保存でき、ストアページの審査も通ってしまいます。落ちて初めて気づいた種類の抜けでした。チェックを1つ入れて保存するだけで直りました。
2件目のほうが本質的でした。「ストアページに Partial Controller Support と表示されているが、ゲームプレイでコントローラーに対応しているようには見えない。ユーザーはコントローラーですべてのゲームプレイ機能にアクセスできない」という指摘で、具体的な理由が1行付いていました。「ポーズメニューをコントローラーで操作できない」です。
確認すると指摘は正確でした。Startボタンでポーズを開くところまではゲームパッドで届いていたのですが、ポーズ画面にある「再開」「タイトルへ」の2つのボタンがマウスのクリックイベントにしか繋がっておらず、そこから先へ進めませんでした。私は申告時に「ゲームプレイとポーズはパッドで可、メニュー操作はキーボード/マウス」という認識でいたのですが、Valveが求める基準は「Partial Controller Supportを名乗るなら、ゲームプレイ中の全機能がパッドで完結すること」でした。ポーズはゲームプレイ中の機能に含まれます。
対応として、ポーズメニューを十字キー・左スティックで選択、Aボタンで決定、Bボタンで閉じられるようにしました。実装で一箇所だけ注意が要ったのは、ボタンの押下判定を「押した瞬間」に絞る処理をどこで走らせるかです。本作は低速移動を「任意のボタン」に割り当てているため、Aボタンを押したままStartでポーズすると、ポーズ中だけ押下判定を計算する実装では「直前フレームは押していなかった」と誤認して決定が入り、メニューが一瞬で閉じてしまいます。判定の更新は、ポーズ中かどうかに関わらず毎フレーム走らせる必要がありました。
Valveの指摘には、リリースを妨げない推奨事項も4件付いていました。コントローラー接続中もキーボードの操作説明が出ていること、Steamオーバーレイを開いてもゲームが止まらないこと、コントローラーを抜いても自動でポーズしないこと、そしてコントローラー対応を掲げるなら「開発者の推奨設定」を用意すべきこと、の4点です。このうち操作説明のパッド表記への切り替えと、コントローラーが外れたときの自動ポーズは、同じ修正のついでに入れました。避けるだけのゲームでは、操作できない数秒がそのまま被弾になるからです。
2回とも同じ原則に触れていた
2件目の指摘には、次の一文が添えられていました。「ストアページのカテゴリは、現在のビルドで利用できる機能だけを反映していることが期待されます」——ストアページに書ける機能は、いま提出しているビルドに実在するものだけである、ということです。
振り返ると、1回目のカプセルの件も同じ構造でした。あちらは「ストアに載せてよい情報の範囲」、こちらは「ストアに書いてよい機能の範囲」で、どちらも、ストアページの記載が実体を超えてはいけない、という一本の原則から来ています。個人開発では、実装が終わる前にストアページを整えたくなる場面が何度もあります。先に書いておいて後から実装を合わせよう、という順序が通らないことを、2回とも同じ場所で確かめた形になりました。
この原則は、これから足す予定の機能にもそのまま効きます。たとえば中国語対応は実装が終わっていますが、その内容を含むビルドをまだ提出していないため、ストアページの「対応言語」にはまだ追加していません。順序としては、4言語入りのビルドを提出して反映してから、ストアの記載を更新することになります。
公開までの日程
実際の日付を並べると、8月12日にストアページを審査提出、8月18日に不合格、8月22日に修正して再提出、8月27日に承認、8月28日に「近日登場」として公開しました。ビルドのほうは8月28日に不合格、同日中に2件を直して再提出しています。Steamの審査は1回につき3〜5営業日で、指摘があると7営業日ほどかかることがあります。
Steamには「ストアページを近日登場として公開してから2週間以上経たないと発売できない」という条件があります。8月28日に公開したので、最短で発売できるのは9月11日です。発売日は2026年9月23日に設定してあるので、この条件は満たしています。差し戻しが2回あってもこの日程に収まったのは、ストアページとビルドの審査を並行して進めていたためです。片方ずつ順番に出していたら、3〜5営業日が二度積み上がっていました。
残っているのはビルドの審査結果待ちです。承認されればそのまま発売日を待つことになります。ストアページは公開済みなので、ウィッシュリストへの登録は今すぐできます。
よくある質問
Q. HITLESSに攻撃手段は本当に一切ないのですか。
ありません。撃つ手段も、弾を消すボムのようなものも、身代わりになるアイテムもありません。プレイヤーができる操作は移動と低速移動、そして一時停止だけです。ステージのクリア条件は15秒間の生存で、敵を倒す必要はなく、そもそも倒せません。
Q. Steamのカプセル画像に、キャッチコピーを入れてはいけないのですか。
入れられません。Steamのカプセル画像に載せてよいのは、ゲームのアートワーク、ゲーム名、そして公式サブタイトルの3つだけです。ここでいう公式サブタイトルとは、ストア上のゲーム名そのものの一部を指します。ゲーム名が1語だけの作品では、キャッチコピーを添えると宣伝文句とみなされて審査に落ちます。アップデートやセール告知のためにテキスト入りの画像を使いたい場合は、アートワークオーバーライドという別の枠でアップロードします。
Q. Partial Controller Supportを名乗るには、どこまで対応が必要ですか。
ゲームプレイ中の全機能をコントローラーだけで操作できる必要があります。移動などの操作だけでなく、ゲームプレイ中に開くポーズメニューもコントローラーで操作できなければなりません。タイトル画面や設定画面などのメニューがキーボードとマウス専用であることは許容されます。加えて、コントローラー対応を掲げる場合は「開発者の推奨設定」を用意することが期待されます。
Q. ストアページの機能欄は、実装前に書いておいてもよいですか。
いけません。ストアページに記載できる機能は、現在提出しているビルドに実在するものだけです。実装より先に記載すると、ビルドの審査で不一致として差し戻されます。順序としては、機能を含むビルドを提出して反映してから、ストアページの記載を更新します。
