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「使用許諾契約が更新されました」とAppleに言われたら — 個人開発者が確認する4つの契約

デベロッパアカウントを開いたら、ページの先頭に「本プログラムの使用許諾契約が更新されました」という案内が出ていました。期限までに同意しないと証明書もApp Store Connectも使えなくなる、という内容です。個人開発だと今すぐ困らないぶん後回しにしやすいのですが、気づくのが次のアップデートを出そうとした日になると最悪です。実際にやってみると、確認すべき契約はひとつではありませんでした。

契約書のカードとチェックの入ったバッジ、鍵を並べたイラスト。使用許諾契約に同意することで証明書を使い続けられることを表している

画面に出たのは「更新された」という事実だけだった

2026年8月25日、developer.apple.com/account を開くと、ページの先頭に案内が出ていました。「証明書、ID、プロファイル」「App Store Connect」「App Store Connect API」といったメンバー限定リソースを継続利用するには、2026年10月2日までに最新のApple Developer Program License Agreementに同意してください、という内容です。

重要なのは、ここに書かれているのが期限だけだということです。前の版から何がどう変わったのかは示されません。差分も変更点の要約も出ないので、気になるなら本文を自分で読むしかありません。

本文は英語で、14条の本体に14本の付属書が付いています。全部を読み通すのは現実的ではありませんが、少なくとも自分が使っている機能の付属書は自分に適用されます。プッシュ通知とApp内課金を使っているなら、その2本は本体と同じだけ効いてくる決まりです。

放置して止まるのは「これから出すもの」のほう

期限を過ぎると使えなくなるのは、証明書・ID・プロファイルと、App Store ConnectとそのAPIです。証明書が使えないということは署名ができないということで、つまりビルドも配信もできなくなります。

ここは誤解しやすいところなのですが、公開中のアプリがストアから消えるわけではありません。消えるのは更新する手段のほうです。ユーザーは今まで通りダウンロードできて、開発者だけが手を入れられなくなる、という状態になります。

だからこそ後回しにしやすい構造になっています。同意しなくても今日は何も壊れません。壊れていることに気づくのは、バグ修正を出そうとしてビルドが通らなかった日です。順番として最悪なので、案内を見た日に済ませてしまうのが安全です。

契約はひとつではなく、4つある

同意して終わりかというと、そうではありませんでした。開発者が関係する契約は複数あり、しかも管理場所が2か所に分かれています。デベロッパアカウント側に2つ、App Store Connect側に2つです。

デベロッパアカウント側にあるのが、今回更新されたApple Developer Program License Agreementと、Apple Developer Agreementです。後者は発効日が2015年のままで、今回の更新とは無関係でした。名前が似ているので混同しやすいのですが、別の契約です。

App Store Connect側にあるのが、有料アプリケーション契約と無料アプリケーション契約です。App内課金を提供しているなら、有料のほうが有効でないと売上まわりが動きません。使用許諾契約に同意しただけでは、こちらの状態は確認できません。

開発者が関係する4つの契約の一覧表。デベロッパアカウント側にApple Developer Program License AgreementとApple Developer Agreement、App Store Connect側に有料アプリケーション契約と無料アプリケーション契約があり、それぞれ確認する場所と役割が異なる
同じ「契約」でも置かれている場所が2か所に分かれている

同意したあと、App Store Connect側も見に行く

App Store Connectの「ビジネス」を開くと、契約・銀行口座・納税フォームが1画面に並んでいます。私の場合はどちらのアプリケーション契約も有効で、銀行口座と納税フォームも有効でした。ここまで確認して、ようやく止まっているものが無いと言えます。

適用期間は契約ごとに違いました。無料アプリ契約が2026年8月24日から2027年7月21日、有料アプリ契約が2026年7月25日から2027年7月21日です。終了日は揃っているのに開始日が違うので、片方だけ見て安心すると取りこぼします。

課金のあるアプリを出しているなら、この画面はブックマークしておく価値があります。契約・入金先・税務書類という、止まると売上が止まるものが全部ここに集まっています。

発効日と同意日を控えておくと、次に効く

契約の一覧には「発効日」と「同意日」が並んで表示されます。私の場合は、更新前が発効2026年6月18日・同意2026年7月22日で、更新後が発効2026年8月18日・同意2026年8月25日でした。7月に同意したばかりの版が、1か月ちょっとで置き換わっています。

Appleは差分を出さないので、どの版に同意したかは自分で記録しておくしかありません。発効日を控えておけば、次に案内が来たときに「前回からどれだけ間があいたか」「自分はどの版を読んだのか」が分かります。

スクリーンショットを1枚撮っておくだけでも十分です。あとから「いつ何に同意したか」を思い出せる状態にしておくと、契約まわりで迷う時間が減ります。

EUに配信しているなら、もうひとつ別の申告がある

App Store Connectのビジネス画面には、赤い警告がもうひとつ出ていました。EUのApp Storeでコンテンツを配信するには、自分がトレーダーであるかどうかを申告する必要がある、という内容です。デジタルサービス法(DSA)にもとづいて、Appleがトレーダーの連絡先情報を確認・表示する義務を負っているためだと書かれています。

ここで言う連絡先情報は、氏名・住所・電話番号・メールアドレスです。そしてこれはEUのApp Storeの製品ページに公開表示されます。法人ならともかく、個人開発で自宅の住所しかない場合、この一点でEU配信の可否が決まることがあります。

私はEEAを配信対象から外しているので、この申告をしなくても現在の配信には影響しません。警告は出たままですが、EU配信を再開する意思が生まれたときに初めて向き合えばいい項目です。逆に言えば、EUに出すつもりなら住所公開の是非を先に決めておく必要があります。

よくある質問

Q. 同意しないとアプリはApp Storeから消えますか?

消えません。期限を過ぎて使えなくなるのは、証明書・ID・プロファイルとApp Store Connect、そしてApp Store Connect APIです。すでに公開されているアプリはそのまま配信され続け、ユーザーもダウンロードできます。止まるのは開発者側の作業で、署名ができないためビルドも新しいバージョンの申請もできなくなります。

Q. 前の版から何が変わったのか知る方法はありますか?

案内の画面には差分も変更点の要約も表示されません。表示されるのは、更新されたという事実と同意の期限だけです。変更点を把握したいなら、同意画面に表示される本文を自分で読むか、PDFをダウンロードして手元の古い版と比較することになります。少なくとも自分が使っている機能の付属書(プッシュ通知やApp内課金など)だけでも目を通しておくと、影響範囲の見当はつきます。

Q. App Store Connect側の契約も一緒に更新されますか?

同じ画面では確認できません。使用許諾契約はデベロッパアカウント側、有料・無料のアプリケーション契約はApp Store Connectの「ビジネス」側で、管理される場所が分かれています。使用許諾契約に同意したあと、App Store Connectを開いて契約のステータスが「有効」になっているかを別途確認してください。App内課金を提供している場合は、有料アプリケーション契約が有効でないと売上まわりが動きません。

Q. 期限ぎりぎりでも大丈夫ですか?

期限内であれば手続き自体は成立しますが、待つ理由はありません。同意しない状態でも当日は何も壊れないため、忘れたまま期限を越えて、次のアップデートを出そうとした日に署名できないことに気づく、という順番になりがちです。案内を見た日に済ませてしまうのが一番安全です。所要時間は本文を読む時間を除けば数分で終わります。